日 程:2011年5月21日(土)14:00~17:00
場 所:東洋大学白山キャンパス6号館3階6306教室
※3月12日開催を予定してした研究例会とのことです.詳しくは,関東社会学会のサイトを確認してください.
関東社会学会 研究例会のご案内
報 告:山本千晶(目白大学短期大学部)
「〈つながりにもとづく平等〉へ向けて–エヴァ・キテイ『愛の労働』からの提起(仮)」
ギリガンによって提示されて以来、「ケアの倫理」は既存の法的思考に対する批判的視点として、主に議論されてきた。したがって、「ケアの倫理」に対する、批判的な足場という以上の、オルタナティブな理論としてのある程度の一般化可能性は可能か否か、という問いが生じる。ケアの倫理に代表されるような具体的で特別な関係性から、何か規範的基盤を導けるのか、というこのような問いは、同時に、ケアをめぐる理論と実践の関係に対する重要な問題提起でもあるだろう。本報告では、「依存者」と「依存労働者」という具体的関係性に焦点をあて、これらの人々を含むすべての人が平等であるような平等概念およびそのための条件を模索しているエヴァ・キテイ『愛の労働』を導きの糸としながら、これらの問題を考えてみたい。
前田拓也(神戸学院大学)
「障害者の自立生活運動における「依存とケア」–身体障害者の介助現場から」
近年、日本の障害者運動の歴史を振り返る作業があらためておこなわれはじめている。それらの成果、特に身体障害者たちによる「自立生活運動」の系譜を繙けば、「自立/自律」のありかたと、それらのネガとしての「依存」を巡る議論は、すでに繰り返しおこなわれてきたことがわかるだろう。一方で、こうした蓄積が、現在の「自立生活」の現場でどのように受け継がれている(あるいは、いない)のかは、十分に議論されているとは言い難い。
本報告では、報告者自身の自立生活センター(CIL)へのフィールドワーク=介助者として働くことによる参与観察から得た知見をもとに、障害者たちの実際の暮らしのなかで、「自立」と「依存」がどのように解釈され、つくりだされ、揺らぎ、壊され、実践されているのかを考察する。また、それらの作業を、正義論ないし正義論がしばしばもっている前提への問いへと接続し、古くて新しい「依存論」の可能性を探る。
司 会:橋本摂子(福島大学)